家を買うと考えた時、新築と中古を比べると「中古の方が安いからお得」と考える方は多いと思います。
ただ、なぜ安いのか、その価格は本当に安いといえるのかどうか判断するためのポイントをあまりご存知ない方は少なくありません。
安いと思って購入した中古住宅が、実はそうでもなかったと後で知るとショックですし、購入前にもっとお得な中古住宅の探し方を調べておけば良かったと悔やむことになるかもしれません。
今回は、お得な中古住宅の探し方についてご紹介します。
お得な中古住宅の探し方
まずは、中古住宅の価格に関する探し方のポイントです。
中古住宅は、その物件にどれだけの価値があるのか調査してから価格が決まりますが、決め方には一定のルールがあります。
このルールを知っておくと、中古住宅の価格がどうやって決まるのかが分かり、物件を探す際に役立つでしょう。
なお、中古住宅の価格を決める際のポイントは、以下の3つです。
- 土地と建物を分けて考える
- 土地価格の計算の仕方
- 建物価格の計算の仕方
土地と建物を分けて考える
家は土地と建物から成り立っていて、物件価格はそれぞれの価値を評価した数字や計算を基に決定して販売されています。
そして土地・建物それぞれの価格は、物件の住所・土地面積・建物面積・建物の構造・築年数の情報が分かれば、一般の方でもおおよその価格を計算することができます。
では、実際に計算してみましょう。
土地価格の計算の仕方
土地価格を計算するには2つの方法があり、1つ目は国土交通省が公開している「土地情報総合システム」を利用する方法です。
トップページにある「不動産取引価格情報検索」をクリックし、「③地域を選ぶ」から住所を選択して検索すると、実際に取引された事例の結果一覧が表示されます。
希望の中古住宅と近い住所の土地がいくらで取引されたのか知りたい時に、有効な方法です。
なお、土地情報総合システムのトップページにある「地価公示都道府県地価調査」をクリックすると、国土交通省が毎年調査を行っている公示地価と、都道府県が毎年調査を行っている基準地価の結果も閲覧できます。
公示地価は国が、基準地価は都道府県が主体となって決められた地点1㎡あたりの価格を算出したもので、不動産売買でもよくこの数値が参考にされます。
データは毎年更新されるので、国や都道府県が近隣の土地にどのくらいの価値があるのか評価しているか最新のデータを知りたい時は、こちらもチェックしてみましょう。
2つ目の方法は、「土地代データ」というサイトを利用する方法です。
こちらは民間企業が運営するサイトで、国土交通省が公表している公示地価と基準地価を使用して、土地価格・平均値・変動率・地価ランキングを独自に集計している点が特徴です。
地価公示都道府県地価調査より見やすくまとめられていて、前年と比べた時の地価増減率も分かるので、地価公示都道府県地価調査だと少し分かりづらい方はこちらのサイトがおすすめです。
そして土地価格の計算方法ですが、たとえば、希望の中古住宅の土地面積が30坪で、そこに近い地点の坪単価が50万円だとすると、土地価格は50万円×30坪=1,500万円となります。
土地の形状や方角、間口の広さなどで正確な価格は多少前後しますが、目安を知るには十分な方法です。
なお、面積が坪または㎡のどちらかしか分からず、㎡数を坪数に、坪数を㎡数に換算したい場合は、以下の式を利用しましょう。
- ㎡数→坪数に換算したい場合…㎡数×0.3025
- 坪数→㎡数に換算したい場合…坪数÷0.3025
建物価格の計算の仕方
建物価格の計算方法は土地価格と違い、面積と坪単価(または㎡単価)をかけるだけではありません。
なぜなら、建物は土地と違って年数が経つにつれて劣化するため、そのことを考慮したうえで価格を計算しなければならないからです。
建物価格を計算する時に用いられる年数の基準を耐用年数といいます。
耐用年数は、築年数に応じた不動産の価値を公平に算出するために国が決めたもので、建物の構造によって以下のように年数が異なります。
※建物の構造の種類は多数ありますが、今回は住宅でよく使われる構造のみピックアップしています。
建物の構造 | 耐用年数 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
木造 | 22年 |
鉄骨造 | 34年 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 47年 |
たとえば、建物面積が30坪、坪単価50万円、築年数10年の木造中古住宅の建物価格を調べるなら、下記のように計算します。
- 建物面積×坪単価×(耐用年数-築年数)…30坪×50万円×(22年-10年)=1億8,000万円
- 1.で出た金額を耐用年数で割る…1億8,000万円÷22年=8,181,818円
この計算の結果、建物価格は約820万円となります。
あとは土地価格と合計した金額が、気になる中古住宅の概算となるのです。
概算の金額が実際の販売価格とあまり差がなければ、その中古住宅は適正かつお得だと判断することができるでしょう。
実際に内覧をしてみて、建物の評価が見合っていない中古住宅が狙い目
先ほどは、土地価格と建物価格の計算方法を用いたお得な中古住宅の探し方をご紹介しましたが、今度は数字だけでなく実際に内覧をヒントにした探し方をご紹介します。
中古住宅の中には、稀に建物の評価が見合っていない物件があります。
というのも、先ほど紹介した耐用年数は、あくまで税務上の処理をする際にどのくらい価値が減っているのか計算しやすいように国が定めた数値で、耐用年数=建物の寿命ではありません。
その証拠として例に挙げられることが多いのが、奈良県にある法隆寺です。
法隆寺は現存する世界最古の木造建築物であり、世界遺産にも登録されていることは多くの方がご存知だと思いますが、このお寺が建てられたのは7世紀の飛鳥時代です。
1300年以上前に建てられたお寺が今も立派な姿を残せているのは、長い歴史の中で幾度となく大規模な修繕が行われ、大切に扱われているからなのです。
中古住宅も法隆寺と同じように、築年数が経過していても、それまでにきちんとメンテナンスや修繕がされていた物件であれば、購入後も十分安心して住むことができるうえ、耐用年数以上に建物の寿命が延びる可能性もあります。
仮に多少の問題があったとしても、リフォームで解決できる程度であれば、あまり気にする必要もないでしょう。
このように、耐用年数を用いて計算した資産価値と実際の利用価値が異なり、購入後も長く住める物件がお得な中古住宅なのです。
なお中古住宅の寿命を左右しやすいポイントは、主要構造部、シロアリ被害の有無、雨漏りや建物の亀裂の有無です。
主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段のことをいい、ここに問題があると大規模リフォームや建て替えが必要になる可能性があります。
※主要構造部には、間仕切り壁や小梁、間柱、1番下の階の床などは含まれません。
シロアリ被害があれば駆除後に被害を受けた箇所を修繕しますが、湿気がたまりやすい土地に家が建っているため、再び被害に遭わないようにこまめなシロアリ・湿気対策が欠かせません。
して雨漏りや建物の亀裂は、大規模な工事が必要なほど被害が大きいのかどうかを確認しましょう。
建物の亀裂は、程度によっては問題ないと判断できるものがありますが、一般の方だと見極めるのが難しいのでプロに判断してもらうことをおすすめします。
こうした情報は、実際に内覧してみないと分からない部分も多いので、数字だけで判断せずにぜひご自分の目でしっかり確かめましょう。
関連記事「府中市で中古住宅・中古戸建ての内覧時に知っておくべきポイント」
中古住宅は取り扱い難易度が高い
新築より安いといえど、中古住宅だって人生で最も高い買い物になることは違いありません。
そのため少しでもお得な中古住宅を探すためには、中古住宅の価格が何を基準にしてどのように計算されているのか、建物評価が見合っていないかどうかを調べることがポイントです。
そして中古住宅は、似たような物件でもわずかな条件の違いで価格が異なりやすいため、実は新築住宅より取り扱い難易度が高い不動産です。
そのため中古住宅を探す際は、ぜひ中古住宅の取り扱い実績が豊富な不動産エージェントを選びましょう。
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