住宅ローンを借りる上でよくいただく質問が「金利」についてです。
変動金利がいいのか、固定金利がいいのか、気になる方も多いのではないでしょうか?一方で、実際に住宅を購入したの4割くらいが住宅ローンで後悔をしているというアンケートもあります。
住宅購入時は購入物件が決まったら、驚くほど速いスピードで物事が進んでいきます。特に住宅ローンについては短い時間の中で、どこの銀行がいいのか、金利をどうするのかなど決めていく必要があります。
そこでいざという時にしっかり検討せずに決めてしまって後悔しないためにも、事前に住宅ローンを借りるときの金利は固定金利がいいのか、変動金利がいいのかの見極め方をお伝えしていきます。
この記事を読むことで、ご自身にとってどちらが向いているのか、有利なのかが分かるようになります。
府中市の住宅ローンがどこがいいのかについては、関連記事「府中市で住宅ローンを借りるときのポイントとおススメは?」も合わせてご参照いただくと、より理解が深まると思います。
実際に選ばれている金利はどっちが多い?
まずは実施に選ばれている金利はどちらが多く選ばれているのかを見ていきます。
(出典:2018年11月公表 住宅金融支援機構「2018年度民間住宅ローン利用者の実態調査」より)
このグラフはフラット35を運営する住宅金融支援機構が公表しているデータです。このデータによれば、変動金利がおよそ6割近くも借りられていることが分かります。
また固定金利選択型というのは、「〇年固定」と表記されているもので、当初〇年間を固定でその後は固定金利と変動金利を選ぶことが出来ることができる商品です。
全期間固定は全体に2割にも満たない程度です。
ただし注意したいのが、結果だけを見て「変動金利がたくさん選ばれているなら変動金利がいいんだ」とならないようにしましょう。その理由をこれから説明していきます。
変動金利 固有のリスク
全期間固定金利では、実行時の金利が払い終わるまで続いていくの、非常にシンプルな商品といえます。しかし変動金利はリスク商品になり、その仕組みやリスクを理解しておく必要があります。
それでは変動金利特有の仕組みについて説明していきます。
仕組み①:5年ルール
変動金利は金利の見直しが半年ごとにあります。しかし、金利が変わったらその都度反映されてしまうと支払額が安定しないため、毎回金利が変動したとしても、支払額は5年ごとに見直すこととするというルールです。
こうすることで毎月の支払い額が安定はしますが、見方を変えると非常に大きなリスクがあります。
しかし支払い額が変わらない分、支払いの内訳(元本と金利)が変わっていて、金利が上がって支払額が変わらないのであれば、金利が増えて元本が減るので元本があまり減っていないということもあるのです。
このグラフは、その時の内訳を図示(左部分)したものになります。<B>のように金利が急激にあがると、元本が減るどころか支払いきれなかった「未払いリスク」が発生することすらありえるのです。
仕組み②:1.25倍ルール
そしてもう一つの変動金利特有のルールが「1.25倍ルール」と呼ばれる仕組みです。これは5年ごとに支払額を見直すときのタイミングに適用されるルールです。
たとえば、金利が上がって本来であれば返済額を1.5倍にしなければいけない時、いきなり返済額が上がり過ぎてしまうと支払いに困るだろうということで、上限を元の支払いが額の1.25倍にするというものです。
この仕組みによって急激に支払額の増加は防げますが、金利の上昇局面ではさらに支払う利息だけが増え、元本が全く減らないというリスクもあるのです。
最悪、数十年後に支払い終える段階でまだ住宅ローンが残っているというリスクもあり得るのが変動金利という商品です。
しかもここ10年近く変動金利は変わっていません。すでに変動金利は金融機関にとって赤字スレスレのところまで下がっているのです。つまり今後変動金利が動くとしたら高くなる方にしか動きません。
固定金利選択型 固有のリスク
もう一つ、変動金利に近い商品として「固定金利選択型」の商品があります。ここでは金利の固定期間が3~10年までのものとします。固定金利選択型にも気を付けるべき特有の仕組みとリスクがあります。
金利が変わっていないのに支払額が増える!?
固定金利選択型の商品では、最初の固定期間が終わったあとに、再度変動金利か固定期間を選べるのですが、ここで金利相場は変わっていないのになぜか支払額が増えるという現象が起きます。
その理由は、「優遇金利幅が縮小」することに起因します。
このグラフにあるように、すべての金融機関ではないものの、最初の固定期間の優遇金利が大きくなっている商品が多く存在します。
優遇金利とは、基準となる店頭金利があってそこから銀行独自で優遇するための金利のことをいいます。店頭金利はどこの金融機関でもほとんど変わりませんが、実際の貸出金利が変わるのはこの優遇金利の幅が違うからです。
このグラフの例で言えば、最初は店頭金利から2.3%の優遇金利だったのに、最初の固定金利期間が終わった時点で1.4%に優遇幅が縮小され、0.9%金利が高くなります。
これが金利相場が変わっていないのに、なぜか支払額が増えてしまう仕組みです。
変動金利のような1.25倍ルールがない
またもう一つ注意が必要な点としては、変動金利にあるような1.25倍ルールがありません。ですから固定金利期間中に急激に金利が上昇した場合、一気に支払額が増える可能性もあります。
変動金利・固定金利選択型のリスクを理解している人の割合
このように、リスクのある仕組みとなっている変動金利と固定金利選択型の商品ですが、このリスクを一体どれだけの人が理解しているのでしょうか。
同じく住宅金融支援機構のアンケートでこのようなデータが公表されています。
(出典:2018年11月公表 住宅金融支援機構 「2018年度民間住宅ローン利用者の実態調査」より)
これは、実際住宅ローンを借りた方にそれぞれのリスクの理解度についてたずねたものになります。変動金利と固定金利選択型の両方とも、仕組みやリスクをあまり理解していない人は約半数にも上ります。
またもし将来金利が上昇したときに対策があるかどうかという質問については6割近い方が無対策なのです。
変動金利の歴史を振り返ると、バブルのころは8%もの金利があったころもあります。さすがにそこまでは上がらないかもしれないものの、これから20年、30年先のことを考えると今より金利が上がる可能性はそれなりにあるのではないかと思います。
その中でこういったデータを見ていると、少し不安を感じるのは私だけでしょうか?
住宅ローンを勧めているのは?
もう一つ住宅金融支援機構が公表しているデータを見てみましょう。
(出典:2018年11月公表 住宅金融支援機構 「2018年度民間住宅ローン利用者の実態調査」より)
こちらの表は、住宅ローンを借りた人がどこから情報収集をして決めたかを聞いたものになります。この結果を見ると1位はダントツで住宅会社や不動産会社の営業マンからおススメされたと答えています。
そして続いて2位がインターネット、3位が金融機関(銀行や相談コーナーなど)が続きます。
なぜ不動産会社は変動金利を勧めるのか?
実際不動産業者の多くは、長期間固定金利よりも変動金利を勧めてくることが多いです。なぜか?それは「売りやすい」からです。
長期間固定金利で計算をすると、変動金利よりも高いため毎月の支払い額よりも多くなります。ですから変動金利にして少しでも毎月の支払額を安く見せたいのです。
不動産業者や住宅会社の売り文句は「賃貸よりも安い」「賃貸と同じくらいの支払いで家が持てる」です。一見すると耳障りのいい言葉ですが、裏を読むとこういった背景があるのです。
本来であれば金利は損得よりも、その人の状況にあった借り方をすることが正解です。変動金利を借りる人の大多数は、はっきり申し上げれば「変動金利を借りてはいけない」人達です。
ここまでに説明してきた基礎知識があれば、不動産会社や銀行が勧めてくるままに変動金利を選んでしまうということはなくなるのではないでしょうか。
それでは変動金利を選んでいい人はどんなタイプなのでしょうか?次からは変動金利でも構わない人の特徴についてお伝えしていきます。
変動金利でも構わない人
変動金利でも構わない人の特徴は以下の通りです。この特徴に当てはまらない方は基本的には全期間固定の方が向いています。
借入金額が少ない人
そもそもの借入金額が少ない人は、金利上昇による影響を受けにくいため、変動金利のリスクを積極的に取りに行っても問題ありません。借入金額が少ないかどうかは収入とのバランスになります。
借入期間が短い人
同じく借入期間が短い人も同じように変動金利のリスクを取りに行っても問題ありません。借入期間が短いとは目安として15年以内のことと考えています。
金利が4~5%でシミュレーションしても破綻しない人
この特徴については実際にライフプランニングをしてみないと分からないのですが、シミュレーションをする金利を4~5%にしてもライフプランが破綻しない収入や資産背景のある方。こういった特徴の方も、変動金利のリスクを取りに行っても構わないと考えています。
ライフプランニングについては、独立系のファイナンシャルプランナーに依頼する方法があります。有料ですが、かかる費用以上にやる価値はあります。また弊社でもライフプランニングを無料で提供していますので、興味のある方は以下のリンクを参照ください。
お金の失敗は取り返しがつかない
ここまでの説明で変動金利や固定金利選択型のリスクについてご理解いただけたと思います。重要なのは繰り返しになりますが、セオリーを押さえたうえであなたの状況にあった選択をすることです。
今は歴史的な低金利と言われていますが、この状況がもうあと数十年も続く保証などどこにもありません。
全期間固定金利では金利が上がらなければ確かに損です。しかし、万が一金利が上がってしまう可能性を考えるのであれば、あえて冒険する必要性もないのかなと思います。
そもそも住宅ローンは何千万円という額にのぼります。金額が金額ですので、金利が1%上がるだけでも家計が受ける影響というのは思いのほか大きくなります。
ですから、損得という観点よりも「安全性」も考慮した方が、結果としては失敗してしまうリスクは減らせるのではないかと考えています。
あなたは変動金利を選んでリスクを冒してまで得を取りたいですか?それとも安全性を重視したいですか?
この質問に答えると、必然的にどちらが合いそうかということが見えてくるのではないかと思います。
府中市で住宅ローンの金利を選ぶとき、変動か固定かのまとめ
最後に府中市で住宅ローンの金利を選ぶとき、変動・固定のどちらがいいかを選ぶときのポイントをまとめておきます。
- 変動金利はリスク商品で特有の仕組みがある
- 固定金利選択型(10年以下)はリスクがあり特有の仕組みがある
- 変動金利や固定金利選択型のリスクを把握している人は約半数もいる
- 不動産会社が変動金利を勧めるのは「売りやすいから」
- 変動金利を借りても構わない人以外は、全期間固定金利が向く
- お金の失敗は取り返しがつかない
これらのポイントを押さえて、ぜひ後悔しないようじっくりと住宅ローンの金利について考えてみてください。
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